呼吸と集中

呼吸と集中

2020年12月30日
技術

小学四年の頃、小倉から東京に引っ越して、埼玉のある団地に移り住みました。横一列に並ぶ長屋の様な2階建ての団地で、隣に吉夫君という同学年の男の子が住んでいました。彼と直ぐにご学友になり、中学に入学すると「剣道部に一緒に入ろうよ。」と誘って来ました。小生、卓球部に入部するつもりだったので断っていたのですが、余りにしつこいので折れてしまいました。

当時、中学校は体育館がまだなく(多分、建設中)、練習は校舎と校舎の間の渡り廊下のある空き地で練習していました。屋外でしかも土の上を裸足で来る日も来る日も竹刀を持って素振りをしていました。目の前の教室を卓球部が利用して練習していましたが、やはり一年生は素振りばかりしています。一学期はどちらの部も素振りばかりで、剣道部の一年生は二学期から防具を付けて練習ができる様になりましたが、相変わらず卓球部は素振りを続けています。「卓球部に入らなくて良かった。」と思いました。

辛い兎跳び、鰐、空気椅子、肩車、腹筋などの特訓にも堪え、懸命に努力したつもりですが、元々剣道に興味がありませんから上達する訳がありません。「好きこそ物の上手なれ」です。十年程前に久しぶりに隣の吉夫君にお会いしましたが、彼は現在、剣道七段だそうです。大したもんだ!

最近、その剣道部の顧問のアドバイスが記憶に蘇ります。

「声を出して攻撃しなさい。声を出すことによって気合いが入り、強い打ちができる。」と。「メーン!」「コテー!」「ドー!」中には「キェー!」とか「チェースト」「さあ、さあ、さあ、さあ」なんて奇声を発する部員もいました。

声は腹から出し、丹田(臍から5cmくらい下)に意識を集中する「腹式呼吸」と言う方法です。

また息を吸っている時は相手は攻撃しにくいので、吸っている時を狙って攻撃するとも教わりました。相手が吸っている時を見定めようとしますが小生の様な未熟者には分かりませんでした。

最近の高校の卓球部員の練習を見ていると「アー!アー!」「ウー!ウー!」「エッ!エッ!」と強打する度に大きな声を出しています。インパクトと多少ずれていますが、気合いを入れているのだろうと思います。オヤジが「アー」とか「ウー」とか「エー」とか言っていると脳梗塞の後遺症で呂律が回っていないと勘違いされそうで声なんて出せません。それに下手なくせに声を出してると格好が悪い。

「力を抜く」ことがまだ不完全で、杉本コーチから「まだ力が入っていますよー。」と相も変わらぬアドバイスをまだ受けています。コーチに再三、脱力法をお尋ねしているので、これ以上どうしたら良いのか分からず、悶々としていた時、卓球ラブオールに参加頂いている上級者の方(過去、全日本クラブチーム(?)の試合で優勝経験のある方です。)に「脱力法」お尋ねしました。

「それは呼吸法です。インパクト時にタイミングを合わせ、厚く当てる時は『フー!』薄く当てる時は『スー!』とほんの少し長目に息を吐き、その後、鼻からまたは口から短めに息を吸うと自然と力が抜けます。」と得意満面で力説されていました。猜疑心の強いオヤジですからそのまま鵜呑みにはできませんでした。しかしラケットに厚く当てる強打の場合は「フー!」と、薄く擦るドライブの場合は「スー!」と息を吐く、「フー!」「スー!」何となく分かる様な気がします。声を出しながら(息を吐きながら)攻撃して、相手が息を吸っている時を狙って攻撃すると言う剣道部の顧問の指導にも通じるものがあります。声を出すのは恥ずかしいけど藁をも縋る思いで試してみました。マスクで声がくぐもり、恥ずかしさも多少薄れます。

「フー」は声に出していますが、「スー」の両方を使い分けるのは混乱するので、厚く当てる時も薄く当てる時も「フー」にしています。まだ完全ではありませんが、力が抜けています。息を吐くと同時に丹田に力が入り、足が浮くことがなくしっかり踏みしめて打球することができます。

剣道では息を吸う時は「弱点」になりますが、卓球の場合、息を吸うことによって「脱力」になります。

他にもメリットがありました。

  • インパクト時に意識を集中して、掴む感覚で打てる。
  • 気合いが入る。
  • タイミングが合う。
  • ラリー中、気持ちを切らさずに集中力が高まる。(小生、相手のしつこいロビングが返って来ると嫌気がさして打つ気力が失せます。)

杉本コーチのアドバイスではありませんが、暫くこの呼吸法を実践してみようと思います。呼吸なんか意識していたら集中できないと仰る方もいらっしゃると思います。卓球の考え方は千差万別です。ご参考程度にお聞き流し下さい。

また、高校時代、卓球部員達と試合に出場すると「慎重!」「思い切って行け!」「集中!」なんて応援を掛けていました。慎重に思い切る?矛盾してます。「集中!」もあの当時は「球を良く見る」ことでした。最近はネットを越えた相手のエリアに集中して、自分のエリアでは球を注視しません。しかし注視しなくても球を意識します。微妙なニュアンスです。

では最近の選手は何に集中しているのか?杉本コーチにお尋ねしました。

「人それぞれですが、例えば「力を抜こう」とか「もっと動こう」とかそんなことに意識を持ちながらプレイすることも集中だと思います。」とのことでした。

ここ一週間、練習中にマスクの下から「フー!フー!」と声が漏れているのはオヤジの呼吸困難ではなく腹式呼吸のせいです。ご心配なく。

※息苦しいでしょうが、マスク着用で練習願います。

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丹阿弥清次

1955年生まれ。広告デザイン会社退社後、デザイン会社を起業して三十数年。卓球歴は大学以来40年の空白状態。還暦前に再挑戦。しかし奮闘努力の甲斐もなく今日も涙のボールが落ちる。

※批判的なコメントはご容赦願います。