天国と卓球

天国と卓球

2021年9月20日

最近、ある卓球場で練習していると見た目が私より明らかに老けている50代の男性から歳を聞かれ「66歳です。」と答えると「え、すごいですね。」と驚かれました。何が凄いのか?単に66歳という高齢に驚いているのか、それとも66歳にして卓球をしている事に驚いているのか意味不明でした。嫌な気分になりそうで突っ込んで聞く気も起こりませんでした。近隣の卓球場の30代のコーチも66歳と答えると「えっ、66歳?」と似た様な反応です。

昭和30年生まれの当方は、幼少時代、「鍵っ子」「現代っ子」と昭和の新人類の様に呼ばれ、大学を卒業して社会に出ると先輩OLの方から「やだ!昭和30年代の子がもう働いているの?」とまるで子供扱い。「そうだよ。あんたらみたいな行き遅れの昭和20年代生まれのオバさんと違ってこちとら若いんだよ。」と言いたい気持ちをぐっと堪え、ちょっと照れた振りなんかしたりして。

いつの間にかそんな若者も気が付けば66歳です。今朝の新聞記事に、働く高齢者「4人に1人」、65歳以上の高齢者が総人口の29.1%と掲載されていました。私もこの歳でもまだ現役で働いています。体力気力実力とも若いもんにはまだ負けていません😤。

たまにニュースで「65歳のオジイさんが…」なんて宣っていると「なにを〜、ジジイ扱いするんじゃねえ!」と憤慨しております。せめて「65歳の男性が…」とか「前期高齢者の男性が…」とかぐらいにして欲しいもんです。若い頃「歳を取りたくて歳を取った訳じゃない。俺だって若い頃があったんだ。」なんて気炎を吐いていたお年寄りお見掛けしましたが、今では本当にそんな気持ちが理解できます。

隣町のサークルの会員は60〜80代の高齢者が中心となり、80代の方達も多く在籍され、元気に卓球に精を出しています。皆さん、「健康維持のために卓球の練習をしています。」とよく言われます。

卓球に打ち込んでいた20代の頃は卓球部の部員達は、皆若く生き生きして、はち切れんばかりの生命力がありました。だから健康維持のためになどと考える輩はおりません。40年振りに卓球を再スタートすると卓球の環境は一変して年寄りが多く、昔はち切れていたお肌は今ではシワシワ。浦島太郎になった様な錯覚を憶えます。

そしてこの8年間、シニアサークルの環境に身を置くと既に4人の方が鬼籍に入っておられます。つい先月のお盆の頃に親しい同年輩の女性が亡くなられました。暇があるとどちらからともなく連絡を取り合い、翌日二人で練習するという仲でした。その方は1年程前に体調を崩して、卓球を休んでいましたが、復帰する事なく他界されました😭。

「卓球をしていると余計なことを考えなくていい。」といつも口癖の様に仰っていました。確かに「なんであの部長はあんな嫌みを私に言ったのだろう?」「今日の晩飯は何だろう?たまには肉でも食わせて欲しい。」なんて余計な事を私も練習中は考えません。

が、「なんで今の球をオーバーするのか?」「なんであんなクソババアに負けたのか?」なんて事で頭が一杯になることがあります😓。

一生懸命練習をして上達を望んでいたその方は、志半ばで復帰する事も叶わず、さぞ無念だったことでしょう。

クソババアに負けようが負けた悔しさを味わえる事が幸せなんだ、卓球さえできれば幸せなんだと、亡くなった女性に申し訳なさを感じながらもこれからの余生を充実して過ごして参りたいと思います。

ビールが好きで卓球が大好きだったOさん。もし天国があるのなら思う存分ビールを飲みながら卓球に励んでいることを願っております。合掌。

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丹阿弥清次

1955年生まれ。広告デザイン会社退社後、デザイン会社を起業して三十数年。卓球歴は大学以来40年の空白状態。還暦前に再挑戦。しかし奮闘努力の甲斐もなく今日も涙のボールが落ちる。

※批判的なコメントはご容赦願います。